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2008年11月25日 (火)

BOOKER T.&THE MG's!

行って来ました! ブルーノート東京(東京メトロ表参道駅 徒歩8分)、最高のソウル・インストバンド、ブッカーT.&ジ・MG'sの日本公演である。

彼らの歴史は古い。映画『アメリカン・グラフィティ』のクライマックス、カーレースの場面(ハリソン・フォードが出てくるところ)で、ブッカーT.&ジ・MG's最大のヒット曲「グリーン・オニオン」(ビルボード全米3位)が流れるのをご存知だろうか? あの映画は1960年代初めのアメリカ、ド田舎の町を描いたものだから、その頃から40年以上も活躍しているわけだ。

しかもテンプテーションズなどと違って、亡くなったドラムのアル・ジャクソン以外はオリジナルメンバーが揃っているというのも嬉しい。外タレ情報に疎い私は、彼らが来日することすら知らなかったのだが、知り合いのソウルファンに予約から何から頼りっきりで今日までやって来た。

そんな事情だから、知り合いと表参道駅で待ち合わせてブルーノート東京まで案内してもらう時点で、既に自分がどこを歩いているのかわからなくなっている。周りの風景もこ洒落ていて、とても日本とは思えない。こういう所を歩いていると哀しい性で、すれ違う人が皆な抜け目なく見えてソワソワする。

ブルーノート東京に着く。私はジャズが好きな割りに、ここへ来るのは初めてなのだ。チャージが高すぎるってのもあるが、こ洒落過ぎて一人で行きにくいというのがネックになっている。初めてのブルーノート東京が、ジャズではなくソウルバンドというのも不思議だ。せめてオスカー・ピーターソンくらい行っておけばよかったなと、いまさらになって思う。

我々は二回公演の一回目を観る予定で、午後6時30分の開演になっているけど、午後5時にはブルーノート東京の前に着いて記念撮影をした。知り合いの話では、早く行って自由席のいいところを確保しようという作戦らしい。しかし、クロークで荷物を預け整理券を受け取ると、すでに22番になっている。みんな気合い入ってんなぁ。

時間になり会場へ案内される。22番目ということで、そんなに前へは行けないだろうなと思っていたら、意外にもステージの一番前が確保出来た。端の方なので、ベースとドラムは見づらいが、オルガンとギターはバッチリ見える。我々の座っているのがオルガンの目の前で、ブッカーT本人のものだろうか、古びたハモンド・オルガンがすぐ手の届く位置にある。

いやがうえにも期待が高まって開演時間を迎えたが、いっこうに始まらない。もしかしてメンバーの誰かが倒れたのでは、あるいは仲間割れか、といぶかるうちに、ようやくMG'sの4人が客席後方から登場する。客はみんなノリノリで、中には小さいアメリカ国旗を振りながら、ギタリストのスティーブ・クロッパーと握手をして、「清四郎マイ・フレンド!」などと意味不明な事を叫ぶ奴もいる。

しかしMG'sは嫌な顔一つせず握手に応じている。もっともベーシストのドナルド・ダック・ダンは公演中ずっと瓶ビールをラッパ飲みして、アル中のようになってたけど……。

音楽が始まる。ブッカーTのオルガンからだ。そこにギター、ベース、ドラムスが加わる。紛れも無い、オーティス・レディングやサム&デイヴのバックで鳴っていたあの音だ。

ブッカーT.&ジ・MG'sには「グリーン・オニオン」以外にも、「タイム・イズ・タイト」 「ヒップ・ハグ・ハー」 「ハング・エム・ハイ」 「ソウル・リンボ」といったバンド固有のインストゥルメンタル・ヒットがいくつもある。それらを惜し気もなく次から次へと繰り出してゆくもんだから、その度に客席から歓声があがる。

MG'sというと、第一にスティーブ・クロッパーのギターサウンドが挙げられることが多いけれど、実はその音楽の土台を支えているのが、リーダー、ブッカーT・ジョーンズのハモンドオルガンのうねるようなグルーヴにあるのだということが、近くで見ていてよく分かった。彼は、表情はいたってクールに、しかしながらオルガンの下を見ると足で巧みにリズムをとりながら、あのファンキーでエキサイティングな音を生み出してゆくのである。

もちろんギターとベースも好調で、スティーブ・クロッパーはソロのたんび前に出て、見栄をきるようにギターを弾く。新メンバーのドラムの人も、聴く前はどんなものかと思っていたが、オリジナルメンバーと遜色なく渡り合っていて、聴きごたえがあった。

また彼らMG'sのレパートリーには当時のヒット曲のカバーも多い。言わばムード歌謡的なナンバーであり、その辺のカバー曲はやはり上手い。きっと現地のクラブでは若かりし頃、サブちゃんみたく流しのような「お好みリクエスト」もやっていたんだろうなぁ、と当時の状況に思いを馳せる。

オーティス・レディングがストーンズの「サティスファクション」をレコーディングしたのもスティーブ・クロッパーの勧めによるものだそうだし、最近ではU2のカバーなどもやってるらしいから、ヒット曲に対するアンテナは常に張っているのだろう。

やがてクライマックスを迎える。ラストはもちろん「グリーン・オニオン」だ。あのオルガン、あのギターの音がそのまんまホールに響く。斜め前にいる女の子が「すごーい」とつぶやきながら見とれている。いつまでも続いてほしい瞬間だ。

アンコールを3曲やってお開きになる。スティーブ・クロッパーがこっちへ来たので握手を求めたら、笑顔で手を握ってくれて感激する。暖かい、ごつい手だった。

いやぁ、最高でした! スティーブ・クロッパーもドナルド・ダック・ダンも、昔の写真と違って太っていて、すっかりいいオッサンになっちまったが、そこから紡ぎ出す音はレコードの頃と変わらず、想像していた通りだった。また来てチョウダイ!


★(追記)
知り合いから後日連絡があり、インターネットによると、忌野清志郎さんが11月20日に飛び入りで、MG'sをバックに「In The Midnight Hour」(ウィルソン・ピケットの曲)と「Soul Man」(サム&デイヴの曲)を歌ったらしいという。

いやぁ、それは見たかったッス! でもスティーブ・クロッパーと握手出来ただけでも私は充分満足ですけどね。

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